未婚の母に必要な手続き…認知届けのメリットデメリット

子育て・レジャー


「未婚の母」とは、婚姻届けを出さずに出産・育児している女性の事です。
一番の違いは離婚や死別と違い、手続きをしなければ父親の存在が戸籍に残らない事です。
他にも「未婚」という事で世間との違いはたくさんありますが、今回はその中でも最も重要である「認知届」について書きます。

認知届とは?

認知届とは、子の父親に認知を求め、戸籍上に 「子の父親である」 という証明を残す事。
婚姻関係を結ばずに子を産んだ場合・内縁のパートナーとの子を産んだ場合は 非嫡出子 とされ、その中でも 「認知子」 「認知されていない非嫡出子」 と別れます。

母子関係の証明は、懐胎(妊娠)・分娩課程という事実によって、必然的且つ客観的に親子関係が確定されますが、父親は「認知届」を出さなければ法的に父子関係と認められません。

認知の方法は?

認知届を出すには2つのパターンがあります。
「任意認知」と「強制認知」です。
相手の出方によって大きく変わってくるので、しっかりと話す必要があります。

①任意認知

一番簡単で平和なのが任意認知です。
相手が役所に行って認知届を提出したら子どもが認知されます。

【届け出先】
母の本籍地
【費用】  
無料
【持ち物】
・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・本人の承諾書(成年者を認知する場合)
・母の承諾書(胎児を認知する場合)…届出先は母の本籍地。
・父の本籍地の戸籍謄本

※お住いの地区によって違う事もあるので、事前にHPを確認しましょう。
※胎児を認知する場合、母の承諾が必要となり、届出先は母の本籍地です
※成年者を認知する場合は、本人の承諾が必要となります

では実際の任意認知はどうやるのでしょうか?

①市役所の戸籍課に行く
※届出人である父の本籍地、または「認知される子の本籍地」
※胎児認知の場合は母の本籍地

②窓口で認知届けを書くか、事前にダウンロードして記載して行きます。

③本人確認をする
④すぐに受理され、最後に子の戸籍謄本(父の欄に名前がある)を貰い、終了

なち
なち

実際に届け出を出した時は、15分ほどですんなりと終わりました。

②強制認知

相手が認知してくれない場合、裁判所へ認知請求する事で「強制認知」をする事ができます。
強制認知は、家庭裁判所で認知調停を起こす必要があるため、費用と時間、何よりも労力がかかります。

認知調停では、裁判所の調停委員を介して認知するかどうかを話し合います。

認知調停の流れ

親子関係が確認されて相手が認知に応じたら子どもが認知されます。
※もし認知調停が不成立になった場合は、調停から裁判に切り替え認知をしてもらうことになります。

①相手の居住する地域の家庭裁判所で申し立て

申立書と必要書類を提出し、1ヶ月後くらいに第1回目の期日が開かれる
②調停委員と共に話し合う
③相手が認知に応じない場合、1ヶ月に1回のペースで機会が設けられる
④調停か裁判で認知を認めた場合、認知届けを提出する

認知調停の申し立て方法と費用・必要な書類

【必要な書類】

・申立書
・子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
・相手の戸籍謄本(全部事項証明書)
・1200円分の収入印紙
・連絡用の郵便切手


※郵便切手の金額や内訳は裁判所によって異なるので、申立前に家庭裁判所に確認しましょう。
※離婚後300日以内に子どもが生まれた場合で、出生届を出していないケースでは「子の出生証明書」のコピーと母親の戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です。
【届け出先】
母の本籍地
【費用】
無料
【認知届けの際に必要な持ち物】

・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・審判又は判決の謄本及び確定証明書(裁判認知の場合)
・本人の承諾書(成年者を認知する場合)
・母の承諾書(胎児を認知する場合)…届出先は母の本籍地。
提出時期認知する日(任意認知の場合)
裁判確定の日から10日以内(裁判認知の場合)
提出方法直接窓口へまたは送付
※胎児を認知する場合、母の承諾が必要となり、届出先は母の本籍地です。
※成年者を認知する場合は、本人の承諾が必要となります

DNA鑑定をする場合も

ここで相手が認めない場合などは、DNA鑑定を実施するケースも。
相手が「認められない!」と渋った場合に、こちら側からDNA鑑定を要求する場合も多いです。
その場合はこちらが費用を払い、鑑定結果で父子関係が認められれば相手に支払うよう訴えて(同じ認知調停の事件内として訴える)判決で支払うように命じる事が出来ます。

弁護士に相談するケース

認知の際に弁護士に相談するという手段を取る場合も多いです。

・調停の申立てに必要な相手の住所がわからない

相手の住所がわからない場合には弁護士に相談しましょう。
以前住んでいた住所地から現在の住所をたどれたり、電話番号や勤め先などから住所を特定できる場合もあります。

・認知調停の手続きが一人で難しい

自身で調停を起こすには強制力と手続きの労力が多く、期間も長くなる事があります。

弁護士費用などは相場で20〜30万が相場となっていますが、公正証書も一緒に作ってしまえるので格段に負担は少なくなります。

【メリット】
・煩雑な手続きを丸投げできる
・調停委員を味方につけやすくなる
・調停に同行してくれる
・交渉や意見を代弁してくれる
・相手への強制力が上がる
・公正証書もお願いできる
など、メリットは多々あります。
気になる人は無料相談からはじめて、予算の相談などをしてみる事をおススメします。

認知届を出すと何が出来る?メリットは?

①養育費の請求ができる

お子さんを産んだ場合、父親に認知をしてもらえれば養育費を請求することができます。ここでは、未婚の母が知っておきたい認知と養育費についてわかりやすく解説します。

養育費の金額は、話し合いか強制認知や公正証書作成のため、家庭裁判所で父親と母親の収入、子どもの年齢と人数などによって決められます。

養育費の相場は43707円を20歳までとなっており、

・母子家庭は43707円
・父子家庭は32550円

と約40000円前後となっています。

②戸籍に父親の名前が残る

子どもの戸籍にもきちんと父親として相手の名前が書かれますし、相手の戸籍には認知した子どもであることが記載されます。

子どもが将来戸籍をみて、父親の欄が空白ということにどういう気持ちを抱くのかなどを考えて認知を決める人も多いようです。

③相続権が得られる

父親が死亡した場合、相続権が得られるため財産分与がされます。
実子と同じ分の権利が得られるため、先々重要になってきます。

④親権を父親にすることができる

認知によって、父と子どもの間に父子関係が認められるため、母父の協議で貧困や療養などによって母親が親権者となる事が困難な場合には、父親を親権者とすることも可能です。

認知した場合のデメリットは?

では逆に、認知届けによって子が不利益を被るという事はあるのでしょうか?

①介護が求められる

認知という事は親子関係が認められるため、養育費の逆で父となった相手の面倒を見る義務が生じま

このケースは明確な線引きがなく、本人同士の話し合いなどが必要になります。

②相続時に負債がある場合も

相続権を得られるという事は、負債ももちろん来るわけです。
負債とは「借金」「不動産」などさまざまなものがありますが、相続放棄という形も取れるので子どもの負担になるケースは少ないようです。

公正証書を残す

養育費や面会の取り決めが決定した場合は、書面に残す「公正証書」を作成しましょう。

公正証書はさまざまな状況で効力を発揮しますが、特に相手が養育費を支払わなくなった場合に有効です。
強制執行をするためには裁判を起こす必要がありますが、公正証書の中に「強制執行を認める文言」があれば裁判を飛ばして執行を執りおこなう事ができます。

なち
なち

未婚の母と子どもにとって「認知届け」と「公正証書」はもっとも大事な手続きと言えるでしょう。
デメリットは少ないのでしっかりと相手と話し合い手続きをしておきたいですね。